歯についてのコラム
麻酔がきかない?
平成21年12月25日
投稿者:一般社団法人 苫小牧歯科医師会
麻酔がきかない?
歯医者で麻酔が効かないと思っている患者さんが少なからずいます。中には自分は麻酔が効かない特異体質だということに、誇りを持っている方がいるくらいです。本当に麻酔が効かないということがあるのでしょうか?結論から申しますとありません。そのため全世界で麻酔薬と承認され多くの手術で使われているのです。患者さんが麻酔が効かないと訴えていることは、本当に麻酔が効かないのではなく、麻酔が効きにくいということになるのだろうと思います。炎症がひどい時には麻酔は効きにくいのです。
詳細は割愛しますが、麻酔液は酸性の物質に麻酔液が結合しています。本来、体が中性のため緩衛し、注射液が分離し組織に入り込むため麻酔が効きます。しかし、炎症がひどい時に麻酔注射を打つとどうでしょう。炎症がひどい組織は酸性状態になっています。そこに酸性の麻酔液を打ち込んでも分離されないため麻酔が効かないのです。
また、部位によっても差があります。上の歯よりも下の歯、下の歯でも前歯よりも奥歯の方が麻酔が効きにくい特性があります。その理由は歯を支えている骨の密度に関係します。歯科の麻酔は骨に浸透させる方法ですので、骨の密度が高くなればなるほど効きにくくなります。このことからも、痛みが出てから歯医者に行くよりも、自分で虫歯に気が付いた段階で歯医者に行く方が麻酔が効きやすいため、つらい思いをすることは少なくなるのです。(文・一般社団法人 苫小牧歯科医師会広報担当理事 吉住彰朗、イラスト・苫小牧歯科衛生士会 姉崎舞)