一般社団法人 苫小牧歯科医師会

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歯についてのコラム


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歯が染みる

平成21年9月11日

投稿者:一般社団法人 苫小牧歯科医師会

歯が染みる

治療を終えたその日から、冷たいものが染みて苦痛だ、という患者さんの訴えを聞くことがよくあります。自覚症状のなかった歯が染みるのですから「小さな虫歯だったのに治療してかえって悪くなったのでは?」という疑問が出て当然かもしれません。

わたしたちの歯の中には、神経と血管からできている歯髄と呼ばれるものがあり、これが染みる症状を感じさせています。虫歯は、ごく初期のものを除いて普通、自然に治ることはありません。

虫歯の治療では、表面のエナメル質より下層の象牙質という部分を削っていきます。ところがこの象牙質には象牙細管と呼ばれる歯髄に通じる細い管が無数にあり、ここへの刺激は歯髄に伝わります。虫歯は取り残すとそこからまた進行してしまうので完全除去を目指します。ですから虫歯の治療は、象牙細管を一時的に露出させてしまうのです。ここを保護する薬などを塗ってから金歯やプラスチックを詰めますが歯髄にとってはすべてが異物ですから反応が出て、その結果、神経は過敏になるのです(もちろん痛ければ再治療します)。

でも安心してください。歯はこの歯髄によって生きています。人体の生命力は、歯が染みないように防御反応を働かせ、次第に歯を改造していきます。(文・一般社団法人 苫小牧歯科医師会広報担当理事 吉住彰朗、イラスト・苫小牧歯科衛生士会 姉崎舞)